山形ビエンナーレ2018の陶器市用に山形大学濱研究室が製作した小屋プロジェクト。加藤建築は、技術協力と現場組立等に協力しました。県産材を使用し、地域の技術を応用した実験的な建築のコンセプトに呼応し、全面的に協力したものです。また、かざらいの板は山形市産材で、㈲安孫子製材さんからのプロジェクトへの提供品です。こういったこと一つひとつの積み重ねが、作り手側の地域産材への認識を高めると同時にエンドユーザーの目に触れる機会を増やし、眼前の資源活用を伴う地域経済の活性に繋がっていくことを期待しています。
<濱研究室によるかざらい小屋の説明>
「かざいらい」とは、冬期の季節風や、吹雪を防ぐために設置する伝統的な雪囲い・風よけの塀です。山形県の永井盆地では、北西から吹き下ろす厳寒のおろしに対して、屋敷の西側に杉を並べた屋敷林を設け、その杉の幹を支柱として横木を渡して、茅や板を縄でくくりつけて、かざらいをつくります。茅葺きの民家が多くあったころは、秋に屋根の材料となる茅を刈り取り、冬にかざらいといてその茅を立て掛けて設置していました。暖かくなった春に、解体されたかざらいは冬に傷んだ屋根の補修のために使われるといった地域の技術があります。現在では茅葺きの民家が少なくなり、茅のかざらいを設けることは少なくなりましたが、多くの民家では板を並べてかざらいをつくる風景が見られます。このような地域の技術であるかざらいで小屋をつくる試みです。
データ(敬称略)
設計施工 山形大学濱研究室(濱 定史)
材料提供 ㈲安孫子製材
技術協力 加藤建築
2018年 夏