山形県の村山盆地、特に天童市や東根市はリンゴ・サクランボ・モモ等果樹農家が多く、その大半が市街化調整区域に属します。当家もリンゴとサクランボを栽培する農家さんで、住まいは「農家住宅」という区分になります。数年前にご相談をいただいた際には、既存母屋とは別に若夫婦世帯の家を敷地内に別棟として新築する計画でスタートしましたが、今後長い先のことを鑑み、既存母屋の全改修で計画する方向になりました。そこで既存母屋の状態を調査したところ、建物基礎が健全で上部構造にも目立つ劣化が少ない事、これまで建物の管理・保全が適切で屋根・外壁の状態も良好であるなど、全改修に耐える状態であることがはっきりしました。この時いつも、細かいところまで常に目を配って折々に修繕を続けてきた先代や、手を抜かず施工された職方各位に感謝・尊敬の気持ちが自然に湧いてきます。
全面改修の計画の難しさの一つに、既存建物の面積の広さや、それに伴う工事費の上振れの問題があります。このことに関しては、計画時に一定の優先順位を定めて、エリア・素材毎の重要レベルをA・B・Cの3段階程度に区分し、補助金等も活用しながら上手にやり繰りしていきます。また、構造安全性・断熱性能の確保については、専門のソフトを使用し解析・計画を行い、上部構造安全性評点1.0以上・改修後断熱性能等級5以上を確保します。これを必要条件とした上で、住まい手さんそれぞれの重要レベルAの事項を最大限助長して「楽しみのあるお気に入りの住まい」に向かい、作り手と住まい手の息を合わせて協力出来た時にこそ、ふんわりと魅力的な空間が出現してきます。
広い土間と薪ストーブ。ゆったりとした居間。回遊性があり良く考えられた動線。世帯間の程よい距離感。農家住宅としての外部空間や作業場空間との程よい親和性。等々。
しっかりと計画してしっかりと施工し、良い関係で双方協力出来たことで、この住宅が再び輝き出したのだと感じています。
データ(敬称等略)
設計施工 加藤建築
解体 高橋組
木材 安孫子製材
木工事 加藤建築
屋根板金 宗田板金工業所
サッシ やまぶきEX
木製建具 後藤建具店
塗装 長岡塗装 石垣塗装
内装 マストアーム
電気設備 佐東電興
衛生設備 髙橋住宅設備
冷暖房設備 イースト設備工業
各所クリーニング 環衛創美社
2018年~2024年