都市計画区域内は、市街化区域と市街化調整区域という二つの区域に分かれます。従前(都市計画法成立以前)からその区域に居住している本人や農業従事者等以外の方が住宅を新築したりする場合には、行政の許可を受ける必要があります。

この家はその調整区域に位置し、建て主さんのご親族が所有する土地の一部を敷地設定して、建築許可申請を経て建設されました。広い敷地の中にはご親族の主屋や建て主さんの御兄弟家族の家も隣接しますが、敷地中心の畑を軸にしてそれぞれの世帯が緩やかに関係を持つ配置となっています。計画の段階からこの「隣居」を意識しながら設計を進める中で、家の内部構成として、アプローチ・玄関から居間に続く土間とそこに配置される薪ストーブ、縦に伸びる煙突と吹抜空間、その大らかな空間を縫う階段動線という要素が自然に導き出されました。こういった吹抜や土間を持つ住宅の場合は特に高い断熱性能が求められます。完成後しばらくしてお伺いすると、土間と薪ストーブのある明るい吹抜リビングには素敵な植物が置かれ、とても暖かくお過ごしのようでした。隣居の子供たち同士も家の中や外で遊ぶ姿も見られ、その姿を見ていると、自ずと従前からお住まいのご親族のお人柄が感じ取られました。

データ(敬称等略)

設計施工 加藤建築

木材  安孫子製材他

木工事 加藤建築

屋根板金 五大建板

サッシ やまぶきEX

木製建具 後藤建具店

塗装 長岡塗装

内装 インテリアムネカタ

電気設備 小野でんき

衛生設備 イースト設備工業

2022年 竣工

長期優良住宅