山形県は、全国トップレベルで同居率の高い県です。

このことと、空き家率の低さや1軒あたりの家の面積の大きさには当然相関関係があります。同居率が東北の中においても突出して高いことの正確な理由については寡聞にして存じ上げませんが、一つは、若夫婦世帯の共稼ぎ率がまた突出して高いこととも関係があるそうです。また当然のことながら1軒あたりの使用エネルギーは高いのですが、居住人員で割ると、機器を共有している分、エネルギー使用の状態は効率的だと言えます。

この新築住宅の計画においては、台所は共有となっており、国の補助制度の設定条件における多世代同居の要件には合致しません。しかし、同居の形態というのは、実に様々な形があり、台所等が別になっていることが補助要件というのでは、問題の本末が転倒していると言わざるをえません。趣旨としては、どのようにしてエネルギーの効率を上げていくのかということなので、このような多世代同居の住宅で、しかも省エネ・快適な住宅をどう作っていくのかという問題であると認識しています。

住宅を新築する際に、外皮性能を上げることや燃焼機器類等の選定によって一次エネルギー消費量を抑えることは前提条件となっていますが、それに加え、その住宅が住まい手さんに永く愛され大切にされるものとなるために、住まい手さんそれぞれのお気に入りの事柄やイメージを聞きながら、それをアレンジして提案するということに努めました。

結果として「お客様らしさ」のにじみ出たよい家になり、お引渡し時にいつも思うことなのですが、この度も「こんな家に住めるなんて羨ましいなあ」と感じることが出来ました。

 

データ(敬称等略)

設計施工 加藤建築
基礎工事 成和工業
木材  安孫子製材
木工事 加藤建築
屋根板金工事 宗田板金工業所
サッシ やまぶきEX
木製建具 後藤建具店
左官 成和工業
塗装 長岡塗装
内装 インテリアムネカタ
畳 たたみの更科
電気設備 小野でんき
衛生設備 イースト設備工業

 

2021年 竣工